司法試験浪人生の進路・撤退先について
新司法試験になって見かけの数字上は一気に合格率が上がりましたが、現在でも司法試験が非常に難しく合格率が低いことに変わりはありません(受け控えした人、予備試験不合格者、ロー生を含めれば実質的な合格率は10%もないのです。)。
そのため、合格の可能性が非常に高い優秀層以外は、合格できなかったことを考えて行動しないといけませんし、不合格の回数が増えれば撤退も視野に入れなければなりません。
そこで今回は、司法試験浪人生の進路・撤退先について主な選択肢を考えてみることとします。
1.とにかく司法試験を受け続ける(専業受験生orフリーター)
司法試験に合格せず法曹になれなかった場合、司法試験の勉強は大部分活かせなくなってしまいますし、司法試験にさえ受かってしまえば就職先の選択肢は一気に増えるため、弁護士でも就職難のこのご時世であっても合格するのが良いことに変わりはありません。
そのため、受かるまで司法試験を受け続けるというのも一つの手だと思います。
特に2000番付近での不合格者の場合、来年以降は合格できる可能性が比較的高いですし、人生を捨てるリスク覚悟で司法試験に臨むのも一つの有効な選択肢でしょう。
また、年齢的に法曹以外の道がほぼ閉ざされている方も、やむをえずこの道を選ぶしかないと思います。
2.公務員になる
次に有効なのが公務員になってしまう選択肢。バリバリ稼いでいる弁護士と比べると、収入は見劣りするものの、その分安定性は高いですし、社会的なステータスも高く、現代社会では魅力的な就職先です。
司法試験の学習に真剣に取り組んできた人にとっては少し教養を勉強するだけでペーパーテストは余裕なはずですし、いくつか併願が可能ですし、本格的に試験が始まるのは司法試験終了後なので(司法試験前にあるのは国家公務員総合職や参議院事務局総合職など数としては少ない)、比較的受けやすく受かりやすいと思います。
そうはいっても、どうしても年齢的に大学生との競争では不利となりますし、「司法試験受けないの?」攻撃に耐えなければならないので、面接が最大の天敵となります。国家公務員一般職や専門職まで最近は面接重視の傾向が強いのですが、面接以外でがっつり点数をとれる方、面接に自信のある方にはお勧めです。
ただし、一度就職してしまうと司法試験に合格するどころか、満足に受験することすらできなくなるおそれがあるので、合格の可能性がそれなりに高い方にとってはやはり迷いどころ。また、仕事にやりがいがないかもしれませんし、サンクコストとどう向き合うかも問題です。
3.民間企業に就職
ロー修了と同時に就職することを考えるのあれば、新卒扱いなので優良企業に行ける可能性は低くないかもしれません。
しかし、一度浪人生になってしまった以上、年齢的な問題もあり、民間企業への就職は非常に困難となるでしょう。特に、ブラック以外の民間企業への就職は非常に難しいのではないでしょうか(地方は絶望的)。コネがある方は別なのでしょうが。
完全に撤退を決めているのであれば、ブラック臭が強くても生活するためと割り切りができるのでしょうが、そうでない方には受験も覚束なくなる可能性が高いので、お勧めはあまりできない選択肢です。
4.司法書士等他の資格を目指す
多いのは、司法書士試験を合格して、司法書士として働くケース。
とはいえ、司法書士試験も司法試験に比べればマシなだけで、超難関であることに変わりはないですし、簡単な道ではありません。
行政書士は司法書士に比べると合格は容易ですし、私ですら合格しているので、真面目に司法試験の学習に取り組んできた方なら合格はできるでしょう。しかし、こちらは合格しても求人が非常に少ないですし、稼げない人が圧倒的に多いため、行政書士一本で生活していくのは困難と思ったほうがよいでしょう。
だらだらと考えてみましたが、合格の可能性が比較的高い2500番以内の方であれば、フリーターをやったり、法律事務所で事務員をやったりしながら再度の受験に臨むのが良いのではないかというのが私の考え。
やっぱり、司法試験に合格しなければずっともやもやを抱えたままの人生になってしまうでしょうし、司法試験に合格してしまうのが一番の泥沼脱出策ですからね。
合格可能性が低いとの自覚がある方は、ドツボにはまる前に完全撤退覚悟で公務員試験を目指すのが良い気がします。あと、コネをつかえるのであれば、ありがたく使わせてもらいましょう(うらやましい)。
司法書士への転向は失敗例も多いものの、成功例も少なくないので、視野には入れておいたほうが良いでしょうね。
主な選択肢以外となると、法律とは関係ない自営業で生活するとか、phaさんのようなスーパーニートとして生きるとかが考えられますが、もっと難易度は上がってしまいそうですね。そもそも生きるのをやめてしまうのが一番簡単かつ無難な気がしますが、それは面白くない選択ですので、考えるのは最後にすべきでしょう。
現代であれば、youtuberとして生きる方法もあるな…ゴクリ(健康で文化的に生きる難易度が最高レベルに高そう)